介護施設へのオンライン歯科  日々の嚥下指導・食事介助に効果【厚生労働省】

 

厚生労働省は昨年度、介護施設や歯科標榜のない病院への訪問歯科を一部オンライン化するモデル事業「ICTを活用した医科歯科連携の検証事業」を実施しました。

口腔内カメラ等の映像を元に、歯科医師が遠隔で診察・指導を行う。歯科医師の業務効率化の他に、介護側の不安・困りごと相談への対応、ミールラウンドへの参加など、より密な歯科連携への取組効果が報告されました。

 

入院患者・施設入所者への歯科専門職による口腔機能管理等は、誤嚥性肺炎の発症率低下、在院日数短縮などの効果が報告されています。しかし、訪問歯科を実施する歯科診療所は全体の2割ほど。6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太の方針)では「要介護高齢者等の受診困難者の増加を視野に入れた歯科におけるICTの活用を推進する」と明記するなど、国は効率的な歯科連携の方法を模索しています。

 

同モデル事業では施設・歯科診療所双方をPC、タブレットでつなぎ、施設に訪問した歯科衛生士、または施設の介護職員が口腔内カメラを操作しその映像を歯科医師がリアルタイムで確認しながら口腔内の評価・指導等を行いました。

 

オンラインの利点に挙がったのは、歯科医師の訪問の負担が減った分、介護職員等がちょっとした不安や困りごとでも相談しやすくなったことです。歯科医師による日々の口腔ケア、食事介助等の具体的な指導につながり、その結果、口腔衛生状態の改善がみられた利用者もいました。

 

また、食事観察(ミールラウンド)に歯科医師が遠隔で参加し、摂食嚥下指導や食事介助をその場で伝える使い方も。歯科医師によると、「対面時より口腔内を鮮明に確認できる」「一緒に映像を見ながらだと指導も行いやすい」など、口腔内カメラの有用性も評価されました。

 

厚生労働省歯科医療情報推進機構 みらいのために

https://www.identali.or.jp/pdf/20200114_overview.pdf

 

オンライン歯科は全身状態を踏まえた口腔機能の評価・指導・経過観察につながり、要介護者のニーズは高いと思われます。        〈記事担当: 北川〉